株式非上場化の思惑でストップ高

1月12日、富士ソフト(9749)が7240円のストップ高をつけた。

日経QUICKによると、「株式の上場を継続するかを含めた資本政策の検討を始めることが12日にわかった」とのことで、これを材料視した投資家の買いを集めた模様。

非上場化でなぜ上がる?

上場している株式は市場で自由に売買されることで価格が形成されるわけで、非上場となれば一般投資家はその企業の株式を売り買いできなくなる。

となれば「そんな株いらね」となり、投げ売りする人が出てきそうなものだが、実際の株価は逆に動いた。

株探(かぶたん)によると、以下のような事情が背景にあるらしい。

株式市場では、株価にプレミアムを上乗せする形でのTOB(株式公開買い付け)による非公開化や、資本効率の更なる向上に向けた取り組みへの思惑が広がり、買いを集める要因となったようだ。

MINKABU

要するに富士ソフトが非上場化するにあたって市場価格+αの価格で買い取ってもらえるのではという思惑から上がったらしい。

“株式の非上場化”過去の事例

株式の非上場化は過去にいくつもの事例があり、それほど珍しいものではない。戦略的に非上場化の道を選択する企業が増えているとのこと。

ユーザベース

2022年11月9日、TOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。買い付け価格は1株当たり1500円。発表前の株価は800円台で、発表後3日かけて1500円まで高騰する。

ニチイ学館

2020年5月8日、MOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。買い付け価格は1株当たり1500円。発表前の株価は1100円台で、その後1500円まで急騰する。

キリン堂ホールディングス

2020年9月10日、MOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。買い付け価格は1株あたり3500円。発表前は2500円程度だった株価は2日かけて3500円まで急騰する。

ヤギコーポレーション

2006年7月19日にMOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。450円台だった株価は翌日に656円まで急騰。なお、ヤギコーポレーションの買い付け価格は1株当たり659円。

キューサイ

2006年10月2日、MOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。買い付け価格が1920円と、発表当時の価格と変わらなかったために価格が高騰することはなかったが出来高はいつもの5倍近くまで膨らんだ。

東芝セラミックス

2006年10月31日、MOB(公開買い付け)による株式の非上場化を発表。買い付け価格は600円で、発表前に550円程度だった株価は発表後596円まで上昇。

必ず儲かるわけでもない

事例を見てもわかるように、企業が非上場化を発表する際には、それなりの価格で買い取ってくれるので、買い付け価格以下で買えればその分儲かる。

しかし、今回の場合は検討を開始すると発表されただけで、本当に非上場化となるのか、なったとしてもいくらで公開買い付け価格はいくらになるのかは今のところ不明。

過去の事例では発表時点の株価と同じ水準で買い取るケースもあるのでどう転ぶかは今後の展開を見守るしかない。

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